生活保護って何?

制度

【生活保護とは?】知っておきたい制度の仕組みと受けられる支援


はじめに:生活保護は「最後の安全網」

日本には、どんなに困っても最低限の生活を守るための制度があります。それが生活保護です。
生活保護は「働けるのに働かない人へのお金配り」ではなく、病気や事故、失業などで生活が苦しくなったときに、国と自治体が支えてくれる最後のセーフティネットです。

しかし、実際には制度の内容や受け方を知らない人が多く、「生活保護=悪いこと」という誤解も根強く残っています。今回は、その仕組みや種類、申請の流れ、注意点までをわかりやすく解説します。


1. 生活保護の目的

生活保護法(1950年制定)に基づき、次の二つの目的があります。

健康で文化的な最低限度の生活を保障する
これは憲法第25条「生存権」に基づくもので、人間らしい生活を守るための制度です。

自立の助長
一生保護を受け続けることを前提にせず、自分で生活できるように支援します。


2. 誰が対象になるのか

生活保護は「働く能力があるかどうか」ではなく、「生活費が足りているかどうか」で判断されます。
例えば、以下のような場合に利用できます。

・病気やけがで働けなくなった
・失業して貯金も底をついた
・シングルマザーで子育てと生活費のやりくりが困難
・高齢で年金が少なく、生活が苦しい

重要なポイントとして、生活保護を受けるには「収入」や「資産」が生活保護基準を下回っていることが条件です。
車や高額の貯金、不動産などの資産がある場合は、それを生活に使うことが求められる場合があります。


3. 生活保護で受けられる八つの扶助

生活保護は、単に生活費を渡すだけではなく、必要に応じて複数の扶助(支援)を組み合わせます。

  1. 生活扶助:食費や光熱費など日常生活の費用
  2. 住宅扶助:家賃や地代の補助(上限あり)
  3. 教育扶助:義務教育を受けるための学用品など
  4. 医療扶助:医療費がかからない制度
  5. 介護扶助:介護サービスの利用費
  6. 出産扶助:出産費用の補助
  7. 生業扶助:就職や技能習得のための費用
  8. 葬祭扶助:葬儀に必要な最低限の費用

4. 申請から受給までの流れ

生活保護は自分から申請する制度です。申請はお住まいの市区町村役所の福祉事務所で行います。

  1. 相談
    生活が苦しいこと、収入や資産の状況を相談します。
  2. 申請
    申請書を提出し、収入・資産・家族構成を確認されます。
  3. 調査
    福祉事務所のケースワーカーが自宅訪問や書類確認をします。
  4. 決定通知
    通常は申請から14日以内(最長30日)で結果が通知されます。
  5. 受給開始
    毎月、必要な額が振り込まれます。

5. 生活保護を受けるときの注意点

収入の申告義務
アルバイト代や年金など、収入があった場合は必ず申告しなければなりません。

資産の活用
持ち家や車など、生活に必要ない資産は売却を求められる場合があります。

生活態度
ギャンブルや浪費は、保護廃止や減額の対象になる可能性があります。


6. 生活保護に関するよくある誤解

誤解1 働いている人は受けられない
働いていても、収入が生活保護基準以下なら受けられます。

誤解2 一度受けたら一生もらえる
状況が改善すれば保護は終了します。むしろ自立を目指す制度です。

誤解3 家族に迷惑がかかる
家族に扶養できる能力がなければ、申請しても問題ありません。


7. 生活保護制度の課題

スティグマ(偏見)の存在
「怠けている人が受ける制度」という誤解による偏見が根強いです。

利用率の低さ
本来受けられる人のうち、実際に利用している人は2割程度といわれています。

制度の地域差
支給額や対応は自治体によって差があります。


まとめ

生活保護は、憲法で保障された最低限の生活を守るための大切な制度です。
もしあなたや周囲の人が生活に困っているなら、「恥ずかしいから」と遠慮せず、まずは役所に相談してください。
この制度は、あなたが将来税金を払うことで支え合う仕組みでもあります。困ったときに助けてもらい、元気になったら次は支える側になる。それが生活保護の本来の姿です。


参考リンク

厚生労働省|生活保護制度
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000143448.html

日本弁護士連合会|生活保護Q\&A
https://www.nichibenren.or.jp/activity/human/hanrei/seikatsuhogo.html


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